フィリピン人にとって、生活の一部ともなっている身近な農産物ココナッツ。
その生産量はインドネシアに次いで世界第二位となっており、その実からはココナッツウォーター、ココナッツオイルが採れるほか、ランバノクと呼ばれるココナッツワインを作ったり、その殻で作った食器、繊維で作ったロープ、残りはバイオマス燃料になるなど、1から10まで余すところなく利用されます。
フィリピンには農業省の下には、なんとココナッツ庁(Philippines Coconut Authority)という官庁まであります。PCAは1973年に設立され、ココナッツの木の管理や土地の整備を行っており、フィリピンでは許可なくココヤシを伐採することは禁止されています。
そんな大事にされているココナッツ製品の中でも特に注目されているのは、やはりココナッツオイル。フィリピンでは、古来より“魔除け”や“万能薬”としてシャーマンや魔術師と呼ばれる治療者や民間の間で使用されてきました。実際、近年の研究によりその効果・効能は実証されています。

そもそもココナッツオイルとは、ココナッツミルクの水分を除いた透明な油分。90%近くが「中鎖脂肪酸」で構成されていて、体の中で中性脂肪として蓄積されにくい性質を持っています。
中鎖脂肪酸を摂ることで細胞の機能が活発になり、ダイエット効果や美容効果が期待できます。また、ココナッツオイルに含まれるラウリン酸は、ヒトの母乳の成分のひとつでもあり、免疫系の機能を支え、感染症などから守る働きがあると言われています。加えて、脂溶性ビタミンや必須脂肪酸のほか、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの吸収を高める効果があることがわかっています。
ココナッツオイルは食用油の中で最も飽和脂肪酸の含有率が高く、安定しているため、一般的な植物油に比べて酸化しにくいのが特長。抗酸化物質として、ほかの油の酸化を防ぐとも言われています。
先ほどのココナッツ庁の話に戻りますが、PCAのホームページ内になんとこんなニュースが…。

Virgin coconut oil clinical trials for severe COVID-19 cases in PGH gets greenlight .
(フィリピンジェネラルホスピタルの重度のCOVID-19症例に対するバージンココナッツオイルの臨床試験が承認される )
どうやら、重症例の方にヴァージンココナッツオイルを摂取してもらって、回復が早まるかどうかを検証するようです。フィリピンらしい着目点といえますね。
はたして、免疫力向上に効果のある”奇跡の油”がコロナに歯止めを掛けるのでしょうか。