機械翻訳の精度の向上や人工知能の登場により、いまや誰でも携帯を使ってのリアルタイム翻訳が可能になっています。英語が分からなくてもGoogle翻訳があるし、と思っている人もいるかもしれません。
しかし、翻訳された情報の中には出処に不審な点があるもの、悪質な意訳、誤訳を含んでいるものもあります。また、何と言っても、言葉の裏にある背景、細かいニュアンス、ユーモア、皮肉などは、相手の文化を理解していないと真に意図を汲み取ることは容易ではありません。
SNSで、こんな話がありましたのでご紹介します。
Have English-speaking fandom people ever thought that there’s a chance their way of communicating doesn’t translate very well to non-English speakers? :’) I see people screaming “I HATE THIS SO MUCH” at JP/KR artists and I am so concerned.
— Rune💎S-class diamond vendor (@run_runesque) May 11, 2020
ざっくり訳すとこんな感じ。
‟英語圏の二次創作界隈の人、非ネイティブに用語がちゃんと伝わってない可能性考えたことある?”I HATE THIS SO MUCH!”って日韓絵師にリプ飛ばしてる人いるけど、私めっちゃ心配してる。”
I hate this so much!
Delete it!
Oh, Fu*k!
あなたならこれらをどう訳しますか?
そして、もしSNSでネイティブからこんなコメントがついていたらどう反応しますか?
普通に訳すと「私これ本当に嫌い!」「すぐ消して!」など、強い非難の言葉ですが…。
【拡散希望】英語文化で、作品に対して『究極の尊さを表現した褒め言葉』として”I HATE THIS(直訳:これ嫌い)(意訳:しゅき)、”DELETE THIS(直訳:消してくれ)(意訳:尊死)というコメをすることがあるそうです。しかし、リプや引用RTでそれを見た英語非ネイティブが誤解してしまうことが散見される。→ https://t.co/PGAhOJfASq
— ちひろ (@chihiro_plus) May 12, 2020
英語文化というより、その中でももっと狭い文化の中の話ですが(…)、実は上記の3つはどれも誉め言葉だったんです。文字通りの言葉とは正反対の、反語的な使い方をしているんですね。
表面上の意味だけをもって言語をマスターしたとは言えない良い例だと思います。
上記のようなミスコミュニケーションは、どのようなスケールでも起こりうる話です。ネイティブが意図して非英語圏内に立ち入る場合は配慮し、非ネイティブも意図して英語文化圏と交流する場合はその文化を学ぼうとしなければなりません。自分と相手は違うと区別したうえで、その違いを認め合い、ヒアリングし、一方的に押し付けず、尊重しあうことが大切です。
せっかく外国語が話せても、自分が正しい・立派だとマウントと取る道具として使ってしまっている人がいるのも事実。優劣をつけてしまっては差別やハラスメントになってしまいますし、自分の価値観だけで物事を進めてしまうと、別の場所ではそれが通用しないかもしれません。
異国・異文化の人と触れ合う時は、気を付けましょうね。
ちなみに、使える英語を勉強したい方は、自分の趣味や専門に関する英語クラスタさんをSNSでフォローしたり、コメントしたりしてお友達になったりするのがオススメですよ!