1月、2月、3月…と皆さんも学校で習い覚えるのに苦労したと思います。「月」を表す英単語。
Aprilは、エイプリルフールのエイプリル、Mayはとなりのトトロの主人公「さつき」と「メイ」、Juneはジューンブライド…と関連付けてすぐ覚えられそうなものもありますが、後半に行くと怒涛のロングワードの連続で、英語が嫌になってしまった人も多いのではないでしょうか?
月を表す単語を眺めてみると、いくつか共通のグループに分けることができます。
・形が似ている6月7月
・”-ber”が付いている9月~12月
・Decemberのdecはデシリットルやdecade(10年)のdecだとすると意味は10?
・そう考えると、SeptemberはSevenに似てるし、NovemberはNineに関係ある…?September(9月)…7と関連性
October(10月)…8と関連性
November(11月)…9と関連性
December(12月)…10と関連性
なんで2か月分ずれてるの…?
この謎は「月」の誕生した歴史に隠されていました。
ローマ時代、1年は10カ月304日だった
現在の3月をスタートの1月として、4人の神話の神々の名前を当て、残りの月は「〇番目の月」というように名前を設定していたようです。どうせなら10個とも神話から取ればいいのにと思うのは私だけでしょうか。古代ローマの10カ月カレンダー
1月 | Martius | 軍神マルスの月の意 | 現在の3月 |
2月 | Aprilis | 女神アフロディーテの月の意 | 現在の4月 |
3月 | Maius | 女神マイアの月の意 | 現在の5月 |
4月 | Junius | 最高神ユーピテルの妻ユノー月の意 | 現在の6月 |
5月 | Quintilis | 第5の月の意 | 現在の7月 |
6月 | Sextilis | 第6の月の意 | 現在の8月 |
7月 | September | 第7の月の意 | 現在の9月 |
8月 | October | 第8の月の意 | 現在の10月 |
9月 | November | 第9の月の意 | 現在の11月 |
10月 | December | 第10の月の意 | 現在の12月 |
しかし、現在と2か月分も少ない数え方では、季節のズレが激しいのは当然です。農業を営む人達から「このズレをどうにかしろ」と不満の声も多かったようです。
月の由来と2カ月ずれた原因は1月2月の追加方法にあった
この2カ月のズレを埋めるべく、2代目の王様は1年12ヵ月355日とする新しい暦を作りました。
その時に追加されたのが、ローマ神に由来するJanuariusとFebruariusです。現在の1月、2月の由来ですね。この2カ月を最初に挿入したことにより、第5の月から後が全て本来の意味と2つずつズレる現象が生じました。
これで1年のズレは多少改善されましたが、それでも年10日ほどまだズレています。
年を経るごとに人々がおのおの季節のズレを調整するべくカレンダーをいじるので、暦が徐々に機能しなくなっていきました。ある人は今日を3月15日だと言い張り、ある人は3月13日だと言い、ある人は3月21日だという。そんな状態になったのです。
我らがユリウス・カエサルが暦を整備
「賽は投げられた」「ブルータス、お前もか」などで有名なカエサル(「借金王」「禿の女たらし」などの異名もありますが、あまり掘り返さないでおきましょう)、この人はイエス・キリストが生まれるまだ前の時代(紀元前の世代)の人ですね。
詳しい世界史の話は割愛しますが、当時ローマは3人の実力者が政治を行っていました。カエサルはその実力者の内の1人です。しかし、そのバランスが崩れて内戦が起こります。逃亡者ポンペイウス討伐のためエジプトへ遠征した際、エジプトの太陽暦を学んで、ローマの暦に組み込んだと言われています。
これにより、1年が365日で30日の月と31日の月が交互にやってくるユリウス暦ができました。
この功績が称えられ、第5の月Quintilisはユリウスの名前Juliusに変更されました。
王様のエゴ(?)で8月と日数が混乱
ここまでは「分かる」話だったのですが、カエサルを大叔父とし、カエサルが暗殺されたあとに後継者としてローマ帝王の初代皇帝となったアウグストゥスが暦を弄ります。
アウグストゥスが養父カエサルをどう思っていたのかは分かりませんが、第6の月Sextilisを自分の名前Augustusに変更させました。そして「ユリウスの月が31日で、自分の月が30日なのは納得できない」ということで、2月を1日減らして自分の月も31日に変更。そのあとの月の31日、30日を総入れ替え、とカレンダーを割と己の都合で操作してしまいます。
カエサルのカレンダーとアウグストゥスのカレンダー
ユリウス暦 | → | アウグストゥス暦 | ||
---|---|---|---|---|
Januarius | 31日 | 1月 | Januarius | 31日 |
Februarius | 29日(閏30日) | 2月 | Februarius | 28日(閏29日) |
Martius | 31日 | 3月 | Martius | 31日 |
Aprilis | 30日 | 4月 | Aprilis | 30日 |
Maius | 31日 | 5月 | Maius | 31日 |
Junius | 30日 | 6月 | Junius | 30日 |
Julius | 31日 | 7月 | Julius | 31日 |
Sextilis | 30日 | 8月 | Augustus | 31日 |
September | 31日 | 9月 | September | 30日 |
October | 30日 | 10月 | October | 31日 |
November | 31日 | 11月 | November | 30日 |
December | 30日 | 12月 | December | 31日 |
以上が、現在の英語の月の名前の由来です。
・6月・7月の名前が似ているのは偶然。
・最終的に、1月~8月は神話の神・人名が由来。
・9月~12月はラテン語の「〇〇番目の月」が由来。
ただし1月2月が後から挿入されたために2カ月分本来の意味からズレている。
これらのことが分かりました。
どの月が30日で、どの月が31日なのか、これは日本人でも外国人でも悩むところだそうで、日本語の語呂合わせで、31日ではない月をまとめて「西向く侍」などと言ったりしますが、英語圏ではこぶしを使った数え方がメジャーのようですよ。