幸福度3位の国、貧しいフィリピンの真相

フィリピン文化

米Gallup Internationalの各国の国民の主観的な幸福度を数値化した幸福度ランキングで、フィリピンは毎年世界上位にランクインしています。

このランキングとは別に、国連が調査しているGDPなど国の経済的な豊かさを反映した幸福度ランキングもあるのですが、経済状況を加味したとしても「フィリピン52位」「日本62位」と、フィリピンの方が「幸せな国」という結果が出ています。

この差は一体何なのか…?
幸せとは何かについて、今回はもう少し掘り下げて一緒に見ていきましょう。

気になるフィリピンのお給料

格安でフィリピン留学ができるのは人件費の安さがあるからですが、フィリピンは日給制が一般的です。エリアや業種によって最低賃金は決まっており、現在セブでは1日当たり318~386ペソ(約700~850円、1ペソ=約2.2円)となっています。

語学学校の先生なら、経験により日給500ペソ(約1100円)くらいからでしょうか…。

コロナの影響で、フィリピン国内でもフロントライナー(医療従事者)を募る求人が頻繁にみられるようになっていますが、このご時世の危険手当込の月給が約30000ペソ(約63000円)です。
この金額は、フィリピンでは、ヒヨッコ研修医の月給と同じくらいです。

フィリピン生活に掛かるお金

物価が安いので、給料が低くても問題ないでしょと思われる方もいるかもしれません。
フィリピンの電気代・インターネット代は実はとても高く、日本とあまり変わりません。
そのため、電化製品が普及しておらず、掃除機・洗濯機・パソコンがない家庭が主流です。
今でも、箒で床を掃いたり、手洗いで洗濯しています。


食べ物も、外食は全体的にフィリピン人にとっては高価です。
日給が500ペソで、1杯110ペソ(約240円)のコーヒーを買う余裕はありません。

フィリピンの抱える医療・健康問題

語学学校の先生の給料が約10000ペソ(約22000円)。
ある知り合いの先生は「お父さんは腎臓が悪くて人工透析をしないといけない。それに4000ペソ毎月掛かる」と話していました。

実はこういう家庭はかなり多いのです。

フィリピンでは91%の人が加入していると言われている「フィルヘルス」という健康保険があります。しかし、この保険、通院では使えません。入院でも、条件によっては費用の約7割を負担しなければなりません。

 

良くも悪くもフィリピンは家族の単位が大きいため、働ける大人が複数人いる場合は、全員の給料を寄せ合って生活することができます。しかし、高校生・大学生がいる家庭ではそうもいきません。
日本のような教育ローンの制度はありませんので、お金がないと、学生は学校を途中で辞めて働きに出ないといけなくなります。

 

いじめも暴力もある、昔の日本に共通する部分も?

家族を大事にしていると書いた一方、躾として、ハンガーや箒、ベルトなどでお尻を叩いたりする体罰(corporal punishment)を、今の20代のフィリピン人たちの多数が体験しています。
いじめ(言葉、肌の色、ジェンダーなど)や喧嘩も普通にあります。

それでも皆が「幸せ」と言える理由は?

「人の繋がり」「キリスト教」「必ずしも物質的な豊かさを求めていない」
この3点が、日本とフィリピンの幸せの違いに直結すると考えています。

フィリピン人は”Are you OK?”とよく言います。家族や親戚、人との絆が強く、困った時に誰かに相談できる、孤立にならないコミュニティが自然とそこにある状態です。
しかし「困っている人を助けるのが当たり前」という価値観は、裏返せば「自分でなんとかしようと努力せず」「豊かになるチャンスのある人の将来を犠牲にする」ことにもなり、こうした足の引っ張り合いが、貧困から脱却できない要因のひとつだと考える人もいます。

また、カトリックを信じている人がほとんどで、毎週決まった曜日にミサに行きます。
困難に直面した時に「自分は今試されているのだ」と聖書の言葉を言い聞かせる人も多いですね。

そして、仕事に対して「楽観的で野心がない」とも言えるかもしれませんが、お金を稼いで将来何かを買おう、立派になろう、という精神の方をあまり見かけません。彼らは「物質的な豊かさ」=「幸せ」だとそもそも考えていません。彼らにとっては「綺麗なビーチのある場所で、家族や友達、大切な人と、健康にワイワイ過ごすこと」=「幸せ」です。

資本主義によって「お金=成功=幸せ」の方程式がさも真実のように人々に刷り込まれていますが、オーストラリアでもアメリカでもなく、フィリピン留学だからこそ、英語だけでなく「人生観」を見つめ直す良い機会になるのではないでしょうか。

当校の課外レッスンでは、孤児院に行ったり、ボランティアに参加して、現地の人々と直に触れ合い、自分の目で確かめる事ができますよ。

【本日の英単語】
purpose(パーパス) [名詞/英検3級レベル] …目的、意図

海外に行くときに、入国審査で「渡航の目的は何ですか?」と聞かれますよね。
答えは機内で配られるArriving cardにも書かれているように、business, pleasure, study などと単語で答えて構いません。初心者さん向けの映画「The Terminal」の冒頭にこのシーンがあります。

What is the purpose of your visit?
(あなたの訪問の目的は何ですか?)On business. / For pleasure. / To study.
(仕事です。/ 観光です。/ 留学です。)

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