「フィリピンの硬貨は分かりにくい…」そんな声をよくききます。
それもそのはず、フィリピン硬貨は新旧硬貨が3世代ほど入り混じった状態で使われていて、街中で流通している硬貨には、それぞれ2~3種類の絵柄が存在しています。
そもそもフィリピンの通貨は何ですか?
フィリピン・ペソがフィリピンでの通貨単位でPHPや₱と書かれます。「ペソ」というのは、スペインやスペインの旧植民地で使われている(または、使われていた)通貨単位で、フィリピン・ペソのほかに、アルゼンチン・ペソやメキシコ・ペソなどがあります。(同じペソでもそれぞれ独立した通貨です。)ペソより小さな補助通貨単位として、センタボがあります。アメリカなどで言うところのセント、日本でいうところの銭になります。1ペソ=100センタボです。
フィリピン硬貨は何種類ありますか?
現在の主に流通している額面は合計8種類です。
ペソは、1ペソ、5ペソ、10ペソ、20ペソ(2020年新設)の4種類
センタボは、1センタボ、5センタボ、10センタボ、25センタボの4種類です。
旧硬貨には2ペソコインもあったようですが、私は見たことがありません。
センタボは主に25センタボが流通しており、それ以外は単位が小さすぎて、使う機会も見かける機会もほとんどありません。よって実質は、5種類の硬貨が主に流通しています。
入り混じる旧硬貨
新硬貨はどれも同じようなシルバーのデザインで統一されていますが、旧硬貨はカラフルで形状もかなり異なります。
5センタボは穴が開いているのが可愛らしいですね。センタボはどれもかなり小さいコインです。
1ペソは感覚的にあまり大きな変化はありませんが、5ペソ、10ペソは色や形、デザインともに大きく変更されています。旧10ペソと新20ペソは配色こそ逆ですが、ぱっと見間違えてしまいそうです。
硬貨には何が描かれているのですか?
日本であれば、菊や平等院など、日本を象徴するような絵柄が描かれています。
フィリピンのお金も同じで、著名人や有名な動植物などがお金のデザインに採用されています。
20ペソ:(表)マニュエル・ケソン氏 (裏)マラカニャン宮殿と二ラド
彼は1935年の第二代大統領です。ちょうどその頃に太平洋戦争が勃発し、日本がフィリピンを占領、第二次世界大戦が終わる前に持病で亡くなっています。
何百もあるフィリピン現地語の中から、タガログ語を国語として制定したことにより「フィリピン語の父」とも呼ばれています。現在のケソン市は彼の名前に由来しています。マカラニャン宮殿はマニラにある大統領官邸です。二ラドはマングローブ林や砂浜に見られるアカネ科の低木で、マニラの語源になったとされています。
10ペソ:(表)マポリナオ・マビニ氏 (裏)メディニラ・マグニフィカ
5ペソ:(表)アンドレス・ボノファシオ (裏)ヒスイカズラ(タヤバク)
貴族ではない、民衆の指導者としてナショナルヒーローの1人として慕われ、彼の処刑された11月30日は祝日「ボノファシオの日」として、様々なイベントが行われています。
ヒスイカズラはマメ科の植物で、藤のような咲き方をします。色が独特ですね。
1ペソ:(表)ホセ・リサール (裏)バンダ・サンデリアナ(ワリンワリン)
ワリンワリンはラン科の植物で、「フィリピンの花の女王」と言われています。とても高価で、ミンダナオ島の先住民族からはフィリピン神話に登場する森の妖精として崇拝されています。