フィリピンには離婚(divorce)制度が存在しません。
え?と思われるかもしれませんが、フィリピンはキリスト教信仰の厚い国であり、教会が一定の力を持っています。そのため、法律もキリスト教の教えの影響を受けており、中絶や離婚といった教義に背くような行為は違法とされています。
離婚ができない国は世界中でフィリピンとバチカン市国の2国のみです。
しかしながら、それに代わる制度としてAnnulment(婚姻の無効宣言)というものがあります。
これは離婚ではなく「婚姻そのものをなかったことにする」法手続きです。
アヌルメントをする人は実際には少数派
結婚がうまくいかない場合には「取り消し」すればいいのか、簡単ではないか、と思われるかもしれません。近年このアヌルメントを行うフィリピン人は増加傾向にありますが、それでも全体数から見ればごく少数です。なぜなら、裁判に膨大な時間と費用が掛かるからです。
アヌルメントできる場合とは?
裁判ということで、この結婚取り消しを行う場合には根拠の提示が必要です。
フィリピンでは6つの理由のいずれかに概要する必要があります。
①親の同意の欠如(当事者のどちらかが18歳以上21歳未満の場合
②心理的無能力
③詐欺
④力、脅迫、または不当な影響力によって得られた婚姻の同意
⑤婚姻を成立させることができない身体的能力
⑥重篤な性感染症
②心理的無能力
③詐欺
④力、脅迫、または不当な影響力によって得られた婚姻の同意
⑤婚姻を成立させることができない身体的能力
⑥重篤な性感染症
一般的には②心理的無能力で裁判が進められることが多いようです。体験者によると、相手がいかに心理・精神的に問題がある人物であるのかを法廷で述べなければといけないということでした。
アヌルメントの裁判費用と期間とは?
結婚取り消しの裁判に必要な費用は、弁護士費用なども含めて日本円で70~140万と言われており、これは一般的なフィリピン人の2~4年分の給料に相当します。裁判期間もネックで、早ければ6カ月(この場合、賄賂を渡して便宜を図ってもらう必要がある)、平均は3年~5年です。フィリピンでの”離婚”がいかに難しいかが分かります。
国際結婚の場合、離婚は?
フィリピン人と日本人の国際結婚はフィリピン人にとってポピュラーな組み合わせの一つです。
この場合の離婚はどうなるのでしょうか?基本的には日本で離婚手続きを行い、フィリピンでは離婚制度がないため特に手続きをせずに「結婚を継続している」状態のまま放置しておいても問題ないとされています。ただし、二人のうちの一方または両方がフィリピンで再婚する場合には、このままだと「重婚」になってしまうため、アヌルメントの手続きが必要になります。先ほど述べたように手続きには時間もお金も掛かるため、日本のように簡単にはいかないことは肝に銘じておくべきですね。
この場合の離婚はどうなるのでしょうか?基本的には日本で離婚手続きを行い、フィリピンでは離婚制度がないため特に手続きをせずに「結婚を継続している」状態のまま放置しておいても問題ないとされています。ただし、二人のうちの一方または両方がフィリピンで再婚する場合には、このままだと「重婚」になってしまうため、アヌルメントの手続きが必要になります。先ほど述べたように手続きには時間もお金も掛かるため、日本のように簡単にはいかないことは肝に銘じておくべきですね。