これは実際に英会話の場面であったお話です。
「明日アルバイトに行きます。」
これを英語で何というか尋ねると、マレーシア人の人が
“I will be going to my part-time job tomorrow.”
と教えてくれました。
あれ、未来のことはwillで表すんじゃないの?
なんでbe going toがついてるの?
そんな疑問が日本人から起こりましたが、あなたは納得のいく説明をすることができますか?
今回はそんな未来にまつわる文法のお話をご紹介します。
未来を表す英文法は will だけじゃない
まず、中学文法で習う未来形を復習しましょう。
will と be going to ですね。
I am going to ( go to ) my part-time job tomorrow.
(私は明日アルバイトに行くつもりです。)
実際には少しニュアンスが違います。
will は「その場で自分の意思によって決めた」という意味合いがある
will が表す未来には2つの種類があります。「単純未来」と「意思未来」です。
「単純未来」は、未来という時間軸を表す時に使われます、それ以上でも以下でもありません。
(来週21歳になります。)
ここでは、もうひとつの「意志未来」について詳しく解説します。
willには名詞の用法で「意志」という意味があり、未来形として使われる助動詞willにも、この「私の意志によって今決めました!」というニュアンスが強くでるのが特徴です。「~するつもりです。/~しようと思っています。」などと訳すといいですね。
willが好んで使われるケースは、個人の意見や経験に基づいた未来予測になります。後ろに時間を表す言葉がついていない場合、その行動は直後に行われることが多いです。
(5時に宿題をするつもりです。)
↑「よし!じゃあ5時からやろう!」と今決めたニュアンスが表れています。
(特に問題はありませんでした。この試験、受かってると思います。)
↑自分の経験・体験からそう考えていることが読み取れます。
(このケーキ食べちゃおう。)
↑後ろに時間を表す単語がつかない場合、この「ケーキを食べる」という動作が直後に起こることを暗示しています。
be going to は 「すでに計画されている予定」という意味合いがある
be going to には、未来に計画されている予定や、成り行きや妥当な理由によって会話を発する時点で既に計画されている未来を言うときに使います。「~することになっています。/~の予定があります。」と訳すのがピッタリです。自分の意志は関係なく、妥当な事実や理由があるのが特徴です。
(この5月に叔母を訪ねる予定になっています。)
↑すでにその計画が決まっていることが伝わります。
(トムに本当のことを言おうと思う。)
↑過去になんらかの経緯があり、最終的にそう決心したのだという前後関係が伝わります。
未来を表すほかの表現
ここからは高校範囲の未来表現を見ていきましょう。
ネイティブがよく使う be動詞 + doing は「準備万端の近い未来」をイメージ
中学までは「現在進行形」として習う be動詞+doing は「近い未来」を言う時にも使えます。
「近い未来」って何?具体的にどのくらい直近のことなの?
この疑問を抱いた方は鋭いですね。ごもっともです。
一般的には当日のことが多いのですが、大事なのは時間というよりも「現在進行形」がもつニュアンス、その未来の予定に向かって現実が動き出しつつあるのかどうかです。
(明日両親を訪れる予定です。もう電話で両親にも伝えています。)
↑両親にも知らせていて準備万端、よっぽどのことがない限りこの予定は現実になりそうですね。このように事前に計画されており、その計画に向かって準備やアクションが行われている、実現性の高い未来に対して用います。
この be動詞 + doing の表現は言い換えとして be going to を使っても構いませんが、will を使うことはできないので注意しましょう。
will には 「その場で自分の意思で決めた未来」という意味がありましたね。両親に既に電話して行くことを伝えているので、この予定はそれより前にすでに計画されています。よってその場で決めた訳ではありません。
現在形も未来を表すことがある
タイムテーブルによって既に決められている内容などは現在形を使って表すことがあります。
(この映画は10時40分に上映開始します。)
↑スケジュールとして既に決められていて、滅多なことがない限りは予定通り上映しそうですね。このような一般的事実ともいえるような内容は、まだその時間になっていなくても現在形を使って表すことがあります。
will be doing には 2つの意味がある
さて、ここでやっと冒頭のwill be doing が登場しました。この表現には2つ意味があります。
まず1つめの意味は「未来進行形」です。
未来のある時点において、その動作がまさに進行中であることを示しています。
(午後1時はお昼ご飯を食べている最中です。)
↑暗に「だから1時は都合が悪い」というニュアンスが伝わります。
2つめの意味は「~する予定です。」
willのニュアンスと be doingのニュアンスのハイブリット型ともいえる表現です。この表現は計画された習慣的な動作の時に使われます。willは自分の意思を表すため、単独使用だと主観的で相手のことを考えていない、時にややキツめに聞こえることがありますが、これを客観的な表現の be doing で和らげており、全体として物腰柔らかな印象を与えます。
この表現で有名なのが電車の英語アナウンスです。鉄道会社によって多少表現は異なるものの、will be going が使われていることが多いので、最寄り駅でぜひ一度リスニングしてみてください。
(この電車はまもなく博多駅に到着いたします。)
それぞれの文法が確認ができたところで、冒頭のアルバイトの例文を比較してみましょう。
文法的には全て正解ですが、それぞれどのようなニュアンスがするのでしょうか。
B) I‘m going to (go to) my part-time job tomorrow.
C) I‘m going to my part-time job tomorrow.
D) I will be going to my part-time job tomorrow.
→ I’m gonna go to my part-time job.
C) 計画された直近の未来を表します。ここでは基本的に B) の意味と変わりません。英会話では省略できるところは省略することが多く、ネイティブがよく使う表現とも言えます。
D) 他と比べると丁寧な印象なので、目上の人に対して使うシーンにも適しています。
習慣的にその動作を行っていることを暗示します。例えば週3回など、定期的に自分の意思でアルバイトを入れていて、明日はそのシフトの日、というニュアンスが出てきます。
I will be…と言っている時に「その日は…」とスケジュールやカレンダーをチェックしたり思い浮かべたりして、going to…と言っている時に「アルバイトの予定が入っています」とその調べた結果を出力しているイメージです。
使う単語を変えたり組み合わせたりすることで微妙なニュアンスを相手に伝えることができ、心のこもった英会話ができますよ。