フィリピンではコンビニよりも頻繁に見かけるTattoo店。
今では専らファッションとして普及していますが、フィリピンの歴史を辿ってみると、ルソン島の北部に住むイロゴット族にそのユニークな歴史を見ることができます。
特に有名なのが、イロゴット族の中に分類されているカリンガ族。
幾何学模様の美しい「トライバルタトゥー」と呼ばれている刺青を入れています。
そして、カリンガ族のこちらの女性に刺青を入れてもらおうと、世界中から人々がやってきます。
彼女、ワンさんは、人間国宝でいて、カリンガ族最後の刺青の伝承者とされています。
↓以下の動画にはTatooを彫っているシーンがありますので、血が苦手な方はご注意ください。
カリンガ族は首狩り族としても知られ、男性は戦いで勝利した証として、女性は大人の女性の証、そして美と裕福さを示すシンボルとして、体に独特のシンメトリーな幾何学模様のタトゥーを入れます。
なお、第二次世界大戦の時代には旧日本軍とカリンガ族は闘った歴史があります。旧日本兵と闘った男たちだけに、その勇姿を称えて、鷲の柄のタトゥーが施されたと言います。
現代では洋服を身に着けていますが、昔は女性も上半身に何もを身に着けていませんでした。それがカリンガ族にとって普通だったため、レイプのない民族としても知られています。
人里離れた山の中に住むカリンガ族。
その刺青は、カラマンシ―と言う柑橘類の植物の棘を使って彫ります。
現代のタトゥーで使われる針よりも太く、麻酔ももちろんないため、通常のタトゥーと比べて痛みや腫れが強く、流血もすると言います。時代の変化とともに、若い世代は徐々にそのタトゥーを入れなくなり、技術を伝える者はいなくなりました。
今では、103歳になるワンさんがその唯一の伝承者とされています。
ワンさんは15歳の頃から刺青を彫り続けています。
ワンさんの元には「その技術を習得したい」と世界中から刺青師が訪れたそうですが、ワンさんの答えはいつも「カリンガ族の人間にしか伝承しない」でした。
今ではワンさんの姪孫が見習いとして手伝っているということですが、ワンさんはもう103歳。度々体調が芳しくないとも報道されています。カリンガ族に伝わるこのタトゥー文化が廃れないことを祈っています。