13歳の「心」と歩くセブ島留学日記 ①

初日 「行きたくない」が、もう笑顔に?!

 

「今回の短期留学では、FCEのスコアを絶対に上げる!」

そんな思いで、語学留学の場所に選んだのがセブ島でした。

でも、実際の学びは子どもの「心」、そして親である私自身の「心」のあり方を考える場所なのかもしれません。

中国・蘇州で暮らす13歳の息子「心」。

毎日勉強に追われる生活の中、ようやく2か月の夏休みが始まりました。

この夏は英語をもう一段伸ばし、FCEやIELTSにもつながる力を身につけてほしい。

そう思い、13歳でも学べる学校を探しましたが、希望に合うコースは意外と少なく(親子ならいいけど単独はNG、IELTSは13歳はNGなど)、ようやく出会えたのが HONKI English でした。朝から夕方まで本気で英語漬けになる毎日。

せめてその前に楽しい思い出を作ってあげたいと、トランジットの香港では主人も合流し、丸一日思い切り遊びました。その時の息子は、本当に楽しそうでした。

でも、セブ島に到着し、ホテルへ向かうタクシーの中では、表情が少しずつ曇っていきます。

「丸一日勉強なんて無理。」

その一言だけを残し、窓の外を見つめていました。

中国での生活は、本当に便利。

スマートフォン一つで欲しいものは家まで届き、夜でも安心して歩ける街。

一方、セブ島ではクラクションが鳴り響き、人々はジプニーに乗り合い、信号待ちでは赤ちゃんを抱いたお母さんがタクシーの窓をたたき、「買って」と声をかけてきます。

同じアジアでも、こんなにも世界は違う。

その景色を見つめながら、息子はぽつりとつぶやきました。

「ホテルから出ない。どこにも行かない。」

見慣れない景色は、13歳の息子には少し怖く映ったのかもしれません。

今回滞在するホテルは、語学学校が2階にあります。

部屋にはキッチンがあり、1階にはレストランとプール。

歩いてすぐの場所には日本食スーパーとローカルスーパーもあり、生活するには申し分ありません。

ただ、一歩ホテルを出ると、歩道と車道が隣り合わせ。

車がすぐ横を走り抜け、砂ぼこりが舞う道を歩かなければなりません。

近くのスーパーで買い物を済ませると、息子はほとんど話すことなく眠ってしまいました。

そして翌朝。

雨予報が続いていたにもかかわらず、窓の外には南国らしい青空が広がっていました。

「よかった。」

そんな気持ちで、いよいよ学校へ向かいます。

教室へ入ると、想像していた語学学校とは少し違う空気が流れていました。

受付には誰もおらず、「どうしたらいいんだろう」と少し戸惑います。

入口の小さなソファーでは、これから授業を受ける子どもたちや、アジア各国から来た保護者が思い思いに過ごしていました。

しばらくすると、その中にいた日本人スタッフの方が笑顔で声をかけてくださいました。

2歳のお子さんを連れて現地で働いている方です。

日本語が聞こえた瞬間、息子の表情も少し和らいだように見えました。

「チンチンチーン!」

ベルが鳴ると、子どもたちは自然に教室へ入っていきます。

息子もレベルチェックのため、そのまま別室へ。

私は学校の説明を受けました。

しばらくして休憩時間。

戻ってきた息子の第一声は、

「難しかった。無理。6時間なんて無理。」

それだけ言うと、また教室へ戻っていきました。

「やっぱり無理かな……。」

次の休憩時間。

息子が少し足早に戻ってきました。

「今から、プレゼンすることになった。」

そう言って見せてくれた紙には、中国の自分が住んでいる街、「蘇州」を紹介するためのメモが書かれていました。

「えっ、今日?! 急だね。でも、できるところまで頑張ってみよう。」

「聞いてないよ、そんなこと!!」「・・・。」

人前で話すことは、決して得意ではありません。

準備時間もほとんどない。

授業後に「無理!」とマイナスワードを連発必須!少し身構えていました。

ところが…。

突然、教室の一角でプレゼンテーションが始まりました。

6〜7人の先生方が笑顔で見守っています。

最初は緊張した表情で、声も少し小さい。

「心、頑張れ~。」

私は心の中でつぶやきながら、遠くからのぞき見。

先生方は何度もうなずき、笑顔で耳を傾け、大きな拍手を送ってくれます。

質問にも急かすことなく、ゆっくり答えられるよう待ってくれました。

あれれ、意外にも息子の表情が少しずつ柔らかくなっています。

しかも、用意した英文をただ形式的に読むだけではなく、自分の言葉で伝えようとしています。

かつ、心から楽しそうに!

先生方の笑顔、自然とにじみ出る温かさ、形式的ではない家にいるような雰囲気、そんな家族の一員のような扱いをしてくれ、息子の緊張を解きほぐしてくれたのでしょう。

 

私はこの瞬間、一つのことに気づきました。

子どもは、「ここなら大丈夫」と思えた瞬間から変わり始めるのだ、と。

笑顔で迎えてくれる先生。

失敗しても責めない空気。

できたことを一緒に喜んでくれる人たち。

そんな環境が、「やってみよう」という気持ちを自然に引き出してくれるのでしょう。

英語はもちろん大切です。

でも、その前に必要なのは、「ここなら大丈夫」と思える安心感なのかもしれません。

その日の夜、スーパーへ向かう道で、息子は授業のことを少しずつ話してくれました。

昨日までとは違う、明るい表情で。

たった半日。

セブ島の人たちの笑顔、優しさ、真面目さ、そして陽気さが、息子の心を少しずつ溶かしてくれました。

この2週間で、「心」のあり方がどのように変化していくのか。

英語力だけではなく、人との出会いや異文化に触れること。13歳だからこそ感じられる、何かを持ち帰ってくれたら――。

そんな願いを胸に、私たちのセブ島留学が始まりました。

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